デフの取り付けブラケットの亀裂

エンジンも完成したので、売りに出す為にリフトアップして下回りをチェック&写真撮影しました。

その時に、少し前から発進時にたまにデフあたりからコクッと音が鳴っていたので、デフの取り付けブラケットを、汚れを落として念入りに確認してみると、案の定、クラックが入っていました。

以前にも一度、覗いて確認したのですが、その時は発見する事が出来ませんでした。

メジャーなトラブルのようで、知り合いでも割れた方が何人かおられます。

デフに負担を掛けていると思われる方は、一度念入りにチェックしてみて下さい。

リベットで取り付けられているトランク内のパネルを外しての作業なので、かなり面倒です。

燃料ポンプも外して、取れにくいパウダーコートを必死で剥がしてやっと見えて来ました。

 

ロウ付けの脇の部分に縦にうっすらとクラックが入ってるのが見えるでしょうか?

ロウは柔らかい素材なのでそこが弱いと思う方が多いのですが、実際には柔軟性があるので逆に割れにくいのでしょう。

逆にカチカチの素材の方が一気に裂けてしまう事が多いようです。

一般的に、溶接部ではなく、溶接部の脇にクラックが入ると言うのは良く聞く話です。熱変化と応力の集中の為でしょうか。

市販車のモノコックも線では溶接せずに、応力の分散の為、多くの点(スポット)で溶接されています。

レースの車体補強でも溶接部を繋いでしまう事はせず、必ずスポット増しで補強しますよね。

←右側は駆動力と相殺される事もあってか、何ともありませんでした。

 

さて、何故の部分のみに亀裂が入ったのでしょうか?

まず、エンジンからの駆動力でデフは矢印4の方向に回される為、左側のデフのブラケットは下向きに、右側は上向きに力が掛かります。

次に、デフがドライブシャフトを回そうとする力を支える為、ドライブシャフトの回転と反対の矢印1の方向に力が掛かります。

すると、デフのブラケットがハの字に付いている為に、矢印2の方向にも力が発生してしまいます。

デフとはボルトでガッチリ付いているので矢印2の方向には動かないように思いますが、実際はゴムブッシュを介している為に、僅かに矢印2の方向に動いて、それを繰り返すうちに3の部分が疲労の為、破断したのでしょう。

駆動力矢印4の影響もあるので、左のブラケットが壊れたのは、理論的に納得がいきます。

 

まず、下向きの力に対して補強する為に、こんな型の補強を入れてみます。

3次元の位置決めの為、上手くフィットさせるのは難しく、切り口もメンバーの角度に合わせて斜めに削る必要がありました。

粗削りですが、溶接して塗装しますのでこんなモンで充分でしょう。

アクセスがとても辛い位置の為に、ロールバーなど、簡単に外せるものは外して作業します。

本来はデフを降ろせばとても楽になりますが、ドディオンチューブから何から外す事になり、とても大変なのでこのまま作業します。

すぐ後ろには燃料タンク、燃料パイプもあるので、火気には充分気を付けなくてはなりません。

しかし、後に火が付くはめに・・・

 

左側完了。

MIGだと押し付けるだけで簡単ダと思うのですが、TIGは溶融池を見ながら溶棒を挿して行く必要があるので、こういう狭い所は大変です。

下手な溶接の言い訳です。^^;

しかし、溶け込み具合をしっかり確認しながら作業が出来るので、MIG等よりは確実に溶接出来ます。

あと、TIGだとMIGのようなスパッタ(火花)が皆無なので、数段安全に作業出来ます。

裏面も完了。

本当は強度的にも簡単に点付けくらいでいいかと思ったのですが、きっちり付けてしました。

それにしても、フレーム部のロウ付け部分はすごくきれいに仕上げられています。

アーチモータースの職人業です。

 

クラックの部分も溶接しました。

こう見ると簡単にアクセスできそうですが、こちら側からは手が入らず、上からのアクセスしか出来ないので、溶接面が見え辛く厳しかったです。

見えていなかったので、はみ出ていますね。^^;

 

右側も完了。

ん?配線が焦げてるやん。(涙)

今は鼻の調子が悪いので臭いが判らず、終わってから気が付きました。

少しずつ溶接して、ブレーキクリーナーで冷やしながら作業したのですが、やはり、そのまま溶接するには無理がありました。

 

右側面は比較的、作業し易いので、結構きれいに出来ました。

 

中の配線は大した事なくて良かったです。
これが愛用のTIG溶接機、
日立のポシェットです。
200Vが必要です。

定価だと30万くらいするそうですが、随分前にYahooオークションで沖縄の方から格安で譲ってもらいました。

インバータ方式なので小さくて助かります。
直流のみなのでアルミは溶接できません。

MIGより溶接に時間は掛かりますが、丁寧な溶接が出来るのと、スパッタが飛ばないので安全でしょう。
薄板でも安心ですし。

ローポジションのシートレールや、ちょっとしたステーを自作出来るので、大変重宝しています。

自動溶接面は嫁に頼んで買ってもらったクリスマスプレゼントです。
溶接光を感知して瞬時にシールドされるので、両手が使えて便利です。
クリスマスプレゼントに溶接面は珍しいかも?

これはアルゴンガスのボンベです。
アセチレン等とは違って爆発するような物ではありません。

アルゴンは空気中にも存在する不活性ガスで、その中で溶接する事により素材の酸化を防いだりアークを安定させたりします。

溶接については判り易い教本も少なく、教えてくれる人も居ないので、やっと慣れてきた所です。

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