73RS Music Box

ある方にお礼の意味を込めてMDにベストセレクションを録音して送らせて頂きました。下記はその曲目です。早く発送したかったので後でこれを書いて見てもらう事にしました。70分という短い中での選曲は悩みましたが、どうでしょうか。せっかく書いたので他の方にも見て頂ける様に、ここにUPしました。まだまだ良いのがいっぱいあるんですけどね。

Jimmy Scott - all the way 1992年より [ someone to watch over me ] [ my foolish heart ]
 最近BSの特集で初めて存在を知りました。昔は有名なヴォーカリストだったが、何やらマネージメントに恵まれないのと、女性のような声が災いして、ずっと活動していなかったそうです。そしてこのアルバムで復活。私はチェットベイカーなども大好きなのですが、経歴、演奏曲、アンニュイな雰囲気に通じる部分が感じられます。お店でずーっと流していても飽きる事がないです。
Chet Baker - Live at Paris festival 1981年より [ But not for me ]
そのチェットベイカーです。当時JAZZ界のジェームスディーンと言われ、本当にカッコ良いのです。トランペット奏者ですがオカマっぽい歌声でセンセーショナルを巻き起こしました。当時からスタンダード中心のクールなモダンジャズスタイルで非常に聞きやすく、難解な演奏でマニア受けするマイルスデイビスとは対称的な位置にいました。この人は麻薬で監獄生活を経験し、殴られてトランペッターの命である前歯を折られたりと波乱万丈の人生を送り、70年代になんとか復活。後期は非常にディープでアンニュイな世界に入っていきます。愛車はPorscheの550スパイダー。(ジェームスディーンが事故死したので有名な車です)たくさんアルバムがありますが、最初は初期のチェットベイカーシングスあたりがクールでお勧めです。
Clifford Brown - Clifford Brown with strings 1955年より [ Laura ] [ Memories of you ] [ Stardust ]
名盤です。現代においても歌心、その技術においてこの人を越える人はいません。このアルバムはストリングス入りのスタンダード集なので、誰が聞いてもその素晴らしさが判ると思います。音質はリマスターされているのでしょう、そのプレイも合わせて44年も前の物とはとても思えません。最高傑作です!
Helen Merrill - Hellen Merrill  1954年より [ Don't Explain ] [ What's New ]

これも名盤です。やはり古いのですが全く古さを感じさせません。これにも上記のクリフォードが参加しているのですが、彼のソロは絶妙で、思わずのけぞってノックアウトです。以前に旭化成のへーベルハウスのCMに[ you'd be so nice to come home to ]が使われていたので聞けばご存知の方は多いと思います。私はこの2枚で一生懸命クリフォードのソロのコピーをしましたが、大変勉強になりました。

Bill Evans with Toots Thielemans - Affinity 1978年より [ I do it for your love ]
ピアノのビル・エバンスと、ハーモニカのトゥーツ・シールマンスの共演盤。晩年のエバンスの研ぎ澄まされた繊細さと叙情的なシールマンスの夢の共演です。音的にはシールマンスのソロにきついエコーが掛かりすぎでいただけませんが、演奏の繊細さは鳥肌物です。 シールマンスのハーモニカも世界に唯一無二なのだけれど、下品なエコーが作品をスポイルしているアルバムが多いのは非常に残念です。
The Best - Toots Thielmans より [ What are you doing the rest of your life ]
大好きなトゥーツだが、このアルバムは日本企画のベスト盤で曲目解説がなく、この曲のバックグラウンドはわかりません。彼は映画のサウンドトラックもたくさん手がけているので、このトラックも恐らくそうだと思われます。誰かご存知の方がおられたら是非教えて頂きたいです。壮大なオーケストレーションから始まるこの曲はとてもドラマチックで、聞いているだけでも映画を見ているような感覚でうるうるしてきます。実際トゥーツは「電話機を見ても泣けてしまうんだよ。でも、私の涙は女々しい涙とは違うんだ。」と言うような多感な人なのです。それが演奏や楽曲にとても良く表れていて、ライブでは鳥肌が立ち泣けてきます。昨年のライブでは耳が聞こえにくくなってきた(77歳)と言ってましたが、本当に長生きして欲しいと思います。
Soundtrack - Taxi Driver 1975年よりタイトルトラック
とあるファッションショーでこの曲がかかりました。家のしょぼいTVで映画を見た時に印象に残ってはいたが、ショーのでかいタンノイのスピーカーからの音を聞いてノックアウトされました。レコードを随分前に処分してから、最近になってCDがやっと見つかりました。この曲の持つリズムが最高に良いんですよ。それとバーナードハーマンの怪しげなオーケストレーションに、トムスコットのメリハリの利いたソロ。でも、殆どこの曲しか入ってないので悪しからず。
John Coltrane and Johnny Hartman 1963年より [ They say it's wonderful ] [ Dedicated to you ]
これもコルトレーンのバラッドに並ぶ名盤です。私自身はコルトレーンは好きなプレイヤーではないのですが、この2枚は作品として非常に聞きやすく、ハートマンの本当にハートフルなヴォーカルが(彼は男らしい低音の素晴らしい声です)安らぎを感じさせてくれます。ライナーノーツでは「一期一会から生まれた不朽の名盤」とありますが、まさしくです。
Bill Evans and Jim Hall - Undercurrent 1962年より [ Skating in central park ]
名盤です。ピアノのエバンスとギターのジム・ホールのインタープレイ(デュエット)です。セピア色と言った感じのロマンチックなアルバムです。緊張した掛け合いの[ My funny valentain]の後は「冬の昼下がり、木漏れ日が刺し込む暖かい部屋で紅茶でも飲みながら」といったシュチエーションで聞きたくなるような、ほっとするアルバムです。

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